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親が余命宣告。終末期に検討すべき緩和ケアという選択

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緩和ケアとはどんなことをするのか?

自分の親が末期癌と宣告されたら、私たちには何ができるのでしょうか。癌にはいくつかのステージがあり、末期と呼ばれているのはステージ4に当たります。この状態は、癌の治療をすることで逆に死期を早めてしまう場合があります。

治療方針は医師と相談することになりますが、手術も投薬も厳しい状態の時。場合によっては、身体の治療よりもQOL(クオリティオブライフ)という生活の質を上げることが優先させることもあります。

末期癌は多くの場合、余命が宣告されます。もし、自分の親が「余命1ヶ月」と宣告されたら、私たちはどのような選択をするのでしょうか。残された時間の中、心のケアを中心とした治療の選択をする方もいます。

2016年の12月、私の母は「余命1ヶ月」と宣告されました。短い時間の中、文字通り毎日親と会い、少しでも親孝行できたらという気持ちで病院に通っていました。そこで知ったのが「緩和ケア」という選択肢です。今回は、この「緩和ケア」という方法について紹介していきます。

 

緩和ケアは精神的・身体的ケアを行うのが目的

親が余命宣告された時、それは治療をしても改善の見込みがないことを指します。早い段階で癌を見つけたら手術や抗がん剤で治療できますが、末期の状態では厳しいケースが多いのです。

しかし、余命宣告をすんなりと受け入れられる人はいません。それは親であってもサポートしていく私たちであっても同じです。そんな葛藤や悩み、精神的・身体的な苦痛を和らげていこうというのが緩和ケアというものなのです。

よく誤解する方もいますが、緩和ケアを受けられるのは末期癌の方ばかりではありません。癌と宣告され、これから治療に向かっていく方でも受けることができます。なぜなら、癌治療は精神的にも身体的にも辛いものだからです。

食欲不振や鬱などの原因になってしまうことも少なくありません。「治療」というと、私たちはどうしても薬剤や手術での治療を想像しがちです。

たしかにそれも有効な治療ですが、「癌」と診断されて最初に負担となるのが心の部分です。その心のケアを身体的ケアとともに治療していく。それが緩和ケアの目的です。

緩和ケアの治療とは?

では具体的に、この緩和ケアはどのような治療なのでしょうか。ケアの方法は、患者側の状態に合わせて選択されていきます。そのため、医師や看護師以外にも多くのスタッフが関わってきます。

例えば、精神的理由で食欲がない場合は栄養士と相談することがあります。「喉越しがよく栄養がある食べ物・好きな食べ物」などを相談しながら食事メニューを決めていくのです。

心の悩みが解決できない時は、心理士などがケアをしていきます。これは患者だけではなく、サポートする家族にとっても大切なケアになっていきます。

外来からでも自宅でも可能!緩和ケアを受ける方法

緩和ケアは入院しながら受けることが可能です。方法として、緩和ケアのチームからケアを受けるというパターンです。大手の病院になると緩和ケア病棟がある場合もあります。

緩和ケアチームは、病院内のチームから構成され、主に担当医が舵を取り、それぞれの患者や家族に合ったケアを指示していきます。

緩和ケアチームの構成例

  • 医師
  • 看護師
  • 栄養士
  • 薬剤師
  • 心理士
  • 作業理学療法士

緩和ケア病棟とは、緩和ケアを専門に治療をしていく病棟のことを指します。他の病棟と異なる部分は、病院の中でありながら自分らしい生活を送るということが重要視されているところです。

それは緩和ケア病棟に入院している患者のほとんどが、身体的ケアよりも精神的ケアを優先させているからです。そのため、病院内でありながら家族と過ごせるよう、個室や家族の宿泊できる部屋が用意されています。

その他、外来で緩和ケアが受けられる場合、自宅でも受けることが可能です。自宅でのケアは、急変時でも対応できるよう夜間の往診や看取りが可能な診療所と連携して行われます。

緩和ケア病棟へ入院し精神的ケアを図る

ここからは親が末期癌で余命1ヶ月という宣告を受け、緩和ケア病棟に入院したことを想定してお話しします。緩和ケア病棟がどんなものなのか、医師の説明だけで不安な場合は事前に見学可能な病院もあります。

私も不明なことが多かったので、緩和ケア病棟を見学しました。医師や緩和ケア専門の相談員に相談してからでも入院は可能です。家族がしっかり話し合って決めていきましょう。

緩和ケア病棟の入院生活例

朝の生活

まず起きたら洗面を行い、身だしなみを整えます。朝食を取り、看護師のバイタルチェックがあるので、体の不調などがあれば伝えておきます。家族は24時間面会可能なので、必要であれば一緒に朝食を取ります。

昼の生活

個室にキッチンが備え付けられているので、家族と一緒に好きな物を食べられます。入浴日は看護師のバイタルチェック後に個室のお風呂に入浴します。身体の調子が思わしくない場合は、看護師や家族に補助を頼めます。また、その日によってリハビリスタッフや医師の訪問があるので、要望があれば伝えましょう。

夜の生活

緩和ケアの談話室で家族と会話を楽しんだ後、夕食をとります。宿泊できる部屋が用意されているので、家族で一緒に泊まることができます。最後はバイタルチェックを受け、就寝します。

緩和ケア病棟ならではのイベント

1日の流れを見てみると身体的ケアはほとんどなく、家族と過ごす時間を大切にしていることがわかります。これは1ヶ月という短い時間の中で、自分らしい生活を満足いくまで送るためです。あくまで医師と看護師はサポート的な位置付けになります。

この他、定期的にイベントが行われることもあります。例えば外部からのボランティア活動があったり、クリスマスや夏祭りなどの行事も行われます。病院にいながらも、様々なイベントに参加することができます。ある程度の自由があるという点は、他の病棟と異なる部分です。

穏やかな最期を迎えるために

この余命1ヶ月の緩和ケアでは、延命措置や蘇生は行わないとしました。そのため、心臓マッサージなどは行わず、家族に看取られながら自然に死を迎えることとなります。 最期を自宅で迎えるか病院で迎えるか、事前に親と話し合っておく必要があります。

緩和ケアでは基本的に抗がん剤治療をしませんが、痛み止めなどの治療は行います。患者に「辛い思い・苦しい思い・悲しい思い」をさせないためです。最期を迎えるまで、親は病室で自分の好きなことをして過ごし、大切な家族と共にいながら死を迎えます。

緩和ケアを選択するということ

今回は、余命1ヶ月という具体的な期間がわかっている状態でお話をしました。
しかし「余命がわからない」「早期の癌の場合」であっても、このケアを選択することは可能です。

最初にお伝えしたように、まずは心のダメージを修復していくことが大切です。緩和ケアにあまりいいイメージのなかった方が、実際に受けてみると「毎日を大切に過ごせるようになった」という例もあります。

まずは「自分の心や自分らしさ」を大切にしなければいい治療はできません。癌宣告や余命宣告は終わりでなく始まりです。親らしい最期を迎えさせてあげるためにも、緩和ケアは重要な治療だといえるでしょう。