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老々介護とは?この状況に直面したときの問題点と解決策!

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老々介護とは?

高齢化が進む中、増え続けているのが「老々介護」の世帯です。老々介護とは、高齢者が高齢者を介護するという状態のことをいいます

多くの場合は配偶者が配偶者(夫 ⇔ 妻)を介護するというパターンですが、中には高齢の親(80~90代)を高齢の子供(65歳~70代)が介護するということも。

在宅介護の現場で高齢者が主たる介護者になった場合、高齢者ゆえに起こる問題も多いです。介護は若い世代が行っても大変な作業。心身に疲労が蓄積しやすい高齢者が行うとなると、負担に耐え切れなくなる状況が生じやすくなります。

しかし中高年世代で「老夫婦二人暮らしの方」「親子二人暮らしの方という方」は、将来老々介護の状況になることも覚悟しておく必要があるでしょう。超高齢化社会が到来している現在、そのような世帯は少なくないのが現状です。

今後どうなるかわかりませんが、我が家も今のところ老々介護に直面しそうな家庭です。そこで今回は老々介護に直面したとき、どのようなことを心がけて介護をしていくべきか、「老々介護の実情や問題・対策」を合わせて解説していきます。(執筆者:TORU

 

老々介護の現状とは?在宅介護世帯の過半数が老々介護!

「介護」というと「若い世代が高齢者世代に対して行うもの」というイメージがありますが、今や「元気な高齢者が、要介護状態の高齢者に対して行う」という状況は珍しくありません。

日本は高齢化がどんどん進み、今や高齢化率は27.7%(2017年10月)。将来的には30%、40%近くにまで上昇する見込みです。それに伴い、老々介護に直面する世帯はさらに増えていくと予想されます。

老々介護世帯の割合は年々増え続けている

厚生労働省の「国民生活基礎調査」(平成28年版)によると、在宅介護をしている世帯のうち、被介護者と介護者の両方が65歳以上である世帯の割合は54.7%。今や介護をしている家庭の半数以上が、老々介護に直面しているわけです。

老々介護世帯は年々増加しつつあり、平成13年当時は40.8%ほどでしたが、そのあと次第に増え続け、平成25年には50%を超えるようになりました。「介護」=「子供世代が親世代に対して行うもの」というイメージもありますが、今や現実としては、高齢者同士で行う割合の方が多くなっているわけです。

老々介護世帯(介護者・要介護者がともに65歳以上)の割合の推移

2001年 40.6%
2004年 41.1%
2009年 47.8%
2013年 51.2%
2016年 54.7%

後期高齢者同士の介護も少なくない

一般的に、老々介護は介護者と要介護者が「高齢者」であると定義されていますが、このとき高齢者として想定されているのは「65歳以上」です。

しかし、実際はより高齢の人同士で介護・被介護の状態にある世帯も少なくありません。国民生活基礎調査によれば、介護者と要介護者が双方とも「75歳以上」であるという世帯は、在宅介護世帯全体の29.0%を占めています。

75歳以上の世代というと、介護する側もいつ病気や怪我で倒れてもおかしくありません。ましてや介護負担を担っているので、一般的な75歳よりも心身が疲労した状態に置かれているわけです。この状態では在宅介護の継続自体が危うい状況にあると言えるでしょう。

老々介護世帯が増加するのは「平均寿命と健康寿命の差」と「核家族化の進展」が原因

日本社会の中で着実に増え続けている老々介護世帯ですが、ここまで増加してきた理由には、さまざまな要因が考えられます。老々介護に至る具体的な理由については、家族・世帯ごとに異なりますが、特に大きく影響していると言われているのが、「平均寿命と健康寿命の差」「核家族化の進展」です。

老々介護世帯増加の背景にある平均寿命と健康寿命の差

厚生労働省の調査によれば、2017年時における日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.26歳。男女とも過去最高記録を更新しました。

同省は健康意識が高まって、「生活習慣を改善する取り組みが進んだことが影響している」と分析していますが、実際にはそうとは言い切れない部分もあります。たしかに寿命自体は延びているものの、「健康な状態で寿命が延びている人が多い」とは言えない人が多いのが現状です。

公益財団法人「生命保険文化センター」によれば、「一生の間で介護を必要としない健康な状態でいられる期間」を示す健康寿命は、日本人男性で72.14歳、女性で74.79歳。2016年時点の平均寿命との差は、男性で8.84歳、女性で12.35歳もあるのです。

つまり、健康でいられない状態が男性で8年以上、女性が12年以上あるというのが現状です。高齢者人口が年々増えている日本では、この差を縮めていかない限り、要介護状態となる高齢者は減らないと言えます。

  男性 女性
平均寿命 80.98年 87.14年
健康寿命(制限なく日常生活できる期間) 72.14年 74.79年
平均寿命と健康寿命の差 8.84年 12.39年

(出典:出典 (公財)生命保険文化センター(2016年調査)

核家族化の進展による影響

要介護状態の高齢者が増えても、それを支える若い子供世代が同居していれば、老々介護は避けることができます。しかし、日本における家庭事情がそれを難しくしているのが現状です。

厚生労働省が公表している「グラフでみる世帯の状況」(平成30年版)によれば、昭和30年代半ば頃まで、日本では「6人以上の世帯」がもっとも多い状況が続いていました。しかし高度成長期に入ると6人以上世帯の割合は急速に低下し、2~4人世帯の「核家族」の世帯がどんどん増えてきました。

その背景には、経済成長期に親元を離れて地方から都市部に移り住み、そこで家庭を作る若者が増えたことが挙げられるでしょう。核家族化の進展は「独立した高齢の親」を多く生むことになります。

例えば長男が都会で家族を持ち、「両親が二人で田舎暮らしをする」というケースです。このパターンだと高齢の両親どちらかが倒れると、必然的に元気な側が介護をすることになります。

また、都会で高齢夫婦が二人暮らしをするという状況も増えています。その場合も、夫婦どちらかが要介護状態となれば、老々介護の状況を生むことになるわけです。

老々介護の対策!大切なことは?「オープン」な介護を目指すこと!

現在「老後は夫婦二人で過ごしたい」と考えている人、あるいは「このまま親子で二人暮らしを続けていくと、どちらも高齢者になる」という人にとって、老々介護は他人事ではありません。肉体的・精神的にきつい介護を高齢者の身で乗り切るために、早い段階に対策を考え、今後待ち受ける老々介護を乗り切りましょう。

社会からの孤立を避けることが大事

老々介護世帯に多いのが、介護者が「介護は他人の手を借りない」と考えてしまい、その結果社会との関係が途絶え、孤立してしまうということです。

実際、地域社会から孤立する中で介護者の疲労がピークに達し、介護者・被介護者ともに「共倒れ」の状態となり、2人とも亡くなった状態で見つかる・・・というケースが全国各地で起こっています。

そんな事態を避けるためには、社会との接点を常に維持しておくことが大事です。まず基本となるのは「介護サービス」。保険適用で訪問介護や通所介護などのサービスを利用できます。
(参考:介護保険サービスの自己負担額は?収入状況によって変化する費用

何よりもサービスの利用を通して「ケアマネジャーやホームヘルパー・介護事業所の職員と接点を持つ」ようにしましょう。介護で困ったときは相談にも乗ってくれますし、介護負担を減らす工夫も教えてくれるので、在宅介護を行う上で心強い味方となってくれます。

公的サービスだけでなく私的なつながりも活用する

友に頼る

「地域社会・親戚・友人」など、定期的にサポートや見守りを受けられるような関係を作っておくと、共倒れに陥るリスクを避けやすくなります。こういった関係は、遠距離介護のときにも活かすことができます。

訪問系の介護サービスは便利ですが、24時間常に利用できるわけではありません。介護サービスを利用できない時間帯については、「プライベート・インフォーマルな関係を活かしながら介護を乗り切ること」が大事です。

老々介護をしている介護者は「他人の助けを借りることは恥ずかしい」「こんな状態の家族を見られたくない」と感じ、そのことが理由で社会的に孤立する状況を生むことが少なくありません。

しかし、介護負担を減らして楽になるためにも「家の外」にある力をどんどん活用しましょう。介護の現場を「オープン」にすることが、老々介護を乗り切る上で重要になります。

老々介護は早い内から備えておくことが大事!

今考えれば、私の亡き母もそういった関係に助けられていました。私一人の介護では大変なところもありましたが、母の友人に介護・看病をしていただき、非常に助けられていました。意図していなかったかもしれませんが、母はサポートを受けやすい環境を自分で作っていたのだと思います。

老々介護に直面しそうな人は、早い段階から介護に関する知識を蓄えておき、介護のときにサポートをお願いできる人間関係・地域社会を作っておきましょう。いざ介護に直面したとき、そのような知識や人との関係性に助けられます。

また、子供が離れて暮らしているなら早めに話し合っておくことが重要です。「介護サービスなどの公的なサービス」と「私的な関係を十分に活用」することが、介護負担を軽減する上での大きなポイントになります。