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親の介護をすると遺産は多くもらえる?相続財産の増額を主張できる「寄与分」とは?

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寄与分と遺産相続

日本の高齢化率は27.7%(平成29年10月1日時点)となり、今後さらに高齢化は進んでいきます。高齢者が増えると、体が衰弱した高齢者の介護をする子供も増えざるをえません。

親と同居している「長男・長女」、「長男が家を出たことで親と同居している次男次女以下の兄弟姉妹」は、親が倒れたら亡くなるまで介護をする必要が出てきます。この介護ですが、「相続」と切り離せない問題でもあります。

本来、相続は法律により財産配分の基準が公平に定められています。※法定相続
しかし、最後まで介護をした子供からすれば、親の介護負担をまったく担わなかった兄弟姉妹と相続できる遺産額が公平にされることは、「不公平」に感じるでしょう。

親を最期まで世話して「身体的・精神的・経済的」な負担に直面したのだから、「そのぶん自分が相続額を多くもらいたい」と望むのは、当然のことだとも言えます。

そこで今回は、「親の介護を担った子供は、遺産を多く相続できるのか?税法上それは認められるのか?」という点について解説します。今後、親の介護を担う方々の参考になれば幸いです。

 

遺産の分割は「法定相続人」の配分割合で分割が基本

相続では「遺産分割(亡くなった親が生前に保有していた財産の分配)」の問題が必ずと言っていいほど起こります。

亡くなった親が生前に「遺言書」を作っていれば、遺言書の内容通りに遺産を分割します(民法の原則上)。しかし、遺言書が残されていなければ、遺族の間で協議する必要があります。

民法で定められている相続人の範囲

亡くなった方(被相続人)の遺産を相続できるのは、原則(民法上)として「法定相続人」です。法定相続人は基本的に被相続人の家族・親族になりますが、民法によって遺産相続順位が定められています。

法定相続人の配分割合

  • 1「配偶者」と「子供の場合」・・・配偶者、子供が2分の1ずつ分けます。子供が複数いる場合は、2分の1を人数分で分配します。
  • 2「配偶者」と「父母」や「祖父母(直系尊属)」の場合・・・配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1を相続します。直系尊属が複数いる場合は、3分の1を人数分で分配します。
  • 3「配偶者」及び「兄弟姉妹の場合」・・・配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続します。兄弟姉妹が複数いる場合は、人数分で分配します。
  • 4「配偶者」あるいは「血縁相続人だけの場合」・・・遺産全額を取り分にできます。配偶者がすでにいない場合は子供が全額取り分とし、兄弟姉妹が複数いる場合は人数分で分配します。

なお、被相続人の子供が既に亡くなっていて孫がいるときは、相続権は孫に引き継がれるのが原則となります(代襲相続)。

遺産分割協議の参考として使われる「法定相続の基準」

 

被相続人が遺言書を残していない場合は、法定相続人の間で遺産分割協議を行うことになります。その際、参考にされるのが法定相続の配分割合です。

例えば被相続人(親)の配偶者がいる場合は、「2分の1」を配偶者が、亡くなっている場合は子供が「全額」を人数分で分けることになります。
しかし、子供によっては「人数分で分ける」ということに納得がいかない場合もあります。その典型例が「介護をした子供」です。

親の介護をした子供は「苦労した分の対価を遺産としてもらいたい」と主張するケースが増えているのです。高齢化が進む中、こうした主張をする子供は今後さらに増えていくと予想されます。

介護をした子供の相続は、「寄与分」が認められれば増額もできる!

介護の寄与分

「法定相続分以上の遺産を相続したい」というのが、親の介護をした子の言い分です。客観的にみても、在宅介護の負担をするのは大変なことだとわかります。自分が自由に使える時間、働いて収入を得られるはずの時間で親の介護をしていたわけです。

民法上、法定相続を行うのが原則ですが、同法では「寄与分」という概念が設定されています。介護負担に「寄与分」が当てはまるのであれば、相続分に加算することが認められています。

遺産相続における「寄与分」とは?

 
 
 

寄与分とは、被相続人の財産を維持・増加に「貢献」した法定相続人に、相続遺産が加算されることです。民法上では、この「貢献」には以下の規定があり、一般的に「介護」も療養看護の一種として認められています。

「貢献」に含まれるもの

  • 1被相続人の事業への労務の提供、または財産上の給付
  • 2被相続人に対する療養看護など

例えば「親が亡くなるまで約10年に渡って介護をし続けた」場合、そのことを根拠に、他の相続人に対して寄与分を主張できるわけです。

寄与分によって相続遺産は増える?

ただ、介護も寄与分の対象とはなりますが、相続が増えるケースというのは限られています。その理由の一つが、民法には「親の介護を子供がするのは自然なこと」という考え方があるからです。

そのため、寄与分が認められるには「親の介護」以上に、親の財産維持・増加に大きく貢献したことを示さなければなりません。「実際にどのくらいの貢献があったのか」換算が難しいことも、寄与分の請求を困難にします。

さらに最大のネックともいえるのが、相続人が主張する寄与分について、「遺産分割協議の場で他の相続人(兄弟姉妹など)に認められる必要があること」です

他の相続人が特定の相続人に対する寄与分を認めるということは、配分の遺産取得が減ることを意味します。自分の遺産取得を最大化したい相続人であれば、寄与分を認めないでしょう。

他の相続人に「寄与分を受け取ること」を納得させることは、大きな壁とも言えます。このようなこともあり、介護の寄与分を扱った裁判で、実際に大きく遺産が加算されるというケースが少ないのが現状です。

寄与分を認めてもらうには「遺言書」と「介護負担を知ってもらうこと」が大事

遺産相続と遺言書

遺産相続時に寄与分を加算してもらうの大変なことです。それでも、親族間で事前に話し合いをつけておけば、介護した分の対価として遺産を多くもらうこともできます。

重要

ポイントになるのは、「親が元気なうちから準備すること」です。親が亡くなってから慌てて寄与分を主張するのではなく、親が生前のうちから対策を立てておくことが重要になります。

介護をしている親に遺言書を書いてもらう

 

トラブルを回避できる方法の一つが、親が生きている間に「介護をしてくれたから、遺産を多く与える」という遺言書を書いてもらうことです。正式な遺言書は強い効力を持つので、他の相続人(兄弟姉妹など)も納得しやすくなります。

注意点

遺言を残す上で注意すべきは、遺言書があることを他の相続人全員に知らせておくことです。親が亡くなってから「実は遺言があった」と言って明らかにすると、「亡くなってから偽造したのではないか」と他の相続人から疑われかねません。遺言書の存在を周知しておくことが重要です。

介護負担の大きさを親族に知ってもらう

寄与分の加算には、他の法定相続人の認可が必要になります。「介護負担がいかに大変なのか」、親が生きてるうちから周りに知ってもらいましょう。

「大変な介護をしているのだから、遺産を多くもらって当然」という認識が共有されていけば、寄与分をもらいやすくなります。兄弟姉妹と年に2~3回しか会わないという場合でも、会ったときに介護が大変である旨を認識してもらうよう話すのがよいでしょう。

遺産を多くもらうためには親の生前から対策・準備を整えること!

 

介護をしている子に対して、制度上「寄与分=相続する遺産を加算すること」が認められています。ただ、「どのようにお金に換算するのかという問題」、「他の法定相続人に寄与分を認めてもらう」というハードルがあります。

親が亡くなってから起きるお金の問題は本当に多く、私もそのようなことがありました。遠い親戚まで絡んできて面倒になることも・・・あなた関係ないですよね?という人もいました。

状況次第では追加分を貰いにくくなるので、慎重に対応する必要があります。「介護をしたのだから遺産を多くもらいたい!」という場合、親の生前から対策・準備を整えておくことが非常に重要だと言えます。